近年、教育現場でのICT(情報通信技術)活用が加速しています。学校だけでなく、学習塾でもICT教材の導入が進んでいるようです。株式会社リクルートが提供するオンライン学習サービス『スタディサプリ』は、全国の学習塾の経営者と学習塾に勤務する方を対象に、学習塾でのICT教材活用の実態について調査を行いました。その結果、学習塾の約5割がICT教材を導入しており、導入後は生徒の学習成果向上などの効果を実感していることがわかりました。
学習塾の49.1%がICT教材を導入。活用しているのは講義動画が最多
調査の結果、経営もしくは勤めている学習塾でICT教材を「導入している」と回答した人は49.1%に上りました。一方で、「興味はあるが導入していない」が15.6%、「興味がなく導入していない」が28.6%と、まだ導入に踏み切れていない学習塾も少なくありません。
実際に活用しているICT教材のツールや機能については、「講義動画」が63.0%で最多でした。次いで「テキスト、ドリル」が59.9%、「学習記録」が46.0%と続きます。動画コンテンツを中心に、デジタル教材の活用が進んでいる様子がうかがえます。
ICT教材導入の目的は「生徒の学習成果向上」「学習状況の可視化・蓄積」
では、学習塾がICT教材を導入する目的は何でしょうか。最も多かったのは「生徒の学習成果(成績向上・合格実績)向上のため」で74.4%。2番目に多かったのは「生徒の学習状況の可視化、蓄積をしたい」で52.2%でした。 生徒一人ひとりに合わせたきめ細かな指導を行うために、ICT教材を活用したいというニーズの高さがわかります。また「個別最適な学習サポートを行うため」という回答も31.5%あり、学習塾が生徒個別のサポート強化を重視していることがわかります。
ICT教材導入後は「生徒の学習成果向上」「個別最適な学習サポート」の効果を実感
ICT教材を導入した学習塾は、実際にどのような効果を感じているのでしょうか。「生徒の学習成果(成績向上・合格実績)向上」の効果を感じている学習塾が69.4%と最も多く、当初の目的通りの成果が出ているようです。 次いで「個別最適な指導ができるようになった」が64.2%、「生徒の学習状況の可視化、蓄積ができた」が61.4%と、生徒一人ひとりに合わせた指導の実現にもICT教材が役立っていることがわかります。講師の働き方改革につながる効果も見られ、「生徒一人ひとりと向き合う時間ができた」と回答した学習塾は59.6%に上りました。
学習塾の成功事例に見る、ICT教材の効果的な活用法とは
ICT教材を導入し、効果を上げている学習塾の事例も紹介されています。福島県郡山市の「郡山俊英スクール」では、授業で扱った範囲の講義動画や確認テストを生徒に配信。学習管理システム上で生徒の学習状況を把握し、苦手分析と的確な個別フォローを行っています。その結果、多くの生徒が在籍校の成績を大幅に上げることに成功しているそうです。
鳥取県鳥取市の「コンパスラボ」では、講義動画などで「教える」ことをICT教材に任せることで、講師は生徒へのコーチングに集中。個別フォローの時間が増え、学習計画や学習方法のアドバイスなど、生徒との関わりの質が深まったとのこと。学力を問わず、ほとんどの生徒が成績アップを実現しています。
ICT教材を有効活用することで、講師の負担軽減と生徒の学力向上の両立が可能になります。オンラインでの説明会も開催されているようなので、ICT教材の導入を検討している学習塾は、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
まとめ
学習塾向けオンライン学習サービス『スタディサプリ』の調査により、学習塾でのICT教材活用の実態が明らかになりました。約半数の学習塾がICT教材を導入しており、生徒の学習成果向上や個別最適な学習サポートなどの効果を実感しているようです。 講義動画などのデジタルコンテンツを授業や宿題に活用し、学習管理システムで生徒の理解度を把握することで、効果的な指導が可能になります。 一方で、ICT教材にはまだ課題もあるでしょう。導入のハードルを下げ、使いこなすためのサポートを充実させることで、より多くの学習塾で活用が進むと期待されます。 ICTの力を生かしながら、講師と生徒の関係性を大切にする。そんな学習塾の取り組みが、これからの教育を変えていくのかもしれません。学習塾のICT活用は、まだ始まったばかり。今後の進化と発展に期待が高まります。